ビタミンD

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ビタミンDについて
著書:Orthomolecular Medicine for everyone 作者Abram Hofferを要約しました

<歴 史>
1936年にマグロの脂から初めて抽出された。1952年合成に成功。
人体では日光を浴びることによって合成されている。

<種 類>
ビタミンD3:魚脂から発見されたもので、人や動物が合成している。
魚は十分には合成できないので、プランクトンなどの食物連鎖からそれを得ている。
大きな魚は小さな魚を食べ、人は魚を食べる。
ビタミンD2:エルゴステロールから作られる(コレステロールからではない)、最終的にエルゴカルシフェロールと呼ばれる。これは食物で発見され、紫外線によって合成されている。アメリカではサプリメントに入っていたり牛乳に添加されている。
D2とD3の違いは炭素が1つ違う、D3の方が人や動物には効果的である
天然のビタミンD3には魚の肝油由来のものと、絹由来のものがある。
もしビタミンD3(コレカルシフェノール)と書かれていればそれは絹由来である。
動物は毛を舐めることからビタミンD3を獲得し、人のくる病患者は魚の肝油を皮膚に刷り込むことで治療する。
魚脂以外では食品では十分なビタミンDは含まれていない。
水銀汚染の問題があり魚を摂取することは勧められないかもしれない。

1930年代からビタミンDはミルクに添加されるようになり、最近イギリスでは移民の間でのくる病予防に小麦粉に添加されるようになった。

<作 用>
ビタミンD不足では骨粗しょう症になることが分かっている。サプリメントを取らない人、日光を浴びない人、ビタミンDが添加された牛乳を飲まない人はビタミンD不足になりやすい。

ビタミンDは骨粗鬆症とがん予防、抗うつ作用を持っている
ビタミンD受容体は小腸と骨だけでなく、脳、心臓、すい臓、白血球、皮膚、生殖器などの臓器にも存在している。
慢性的なビタミンD不足は高血圧、多発性硬化症、癌(結腸癌、前立腺癌、乳がん、皮膚がん、卵巣癌)、そして糖尿病を起こす可能性がある

・骨粗鬆症:省略

・くる病
症状:筋肉が弱い、お腹が柔らかい、骨が薄い、振戦、低カルシウム、副甲状腺機能亢進、痙攣
原因:母体のビタミンD摂取不足から起こる
アメリカではテキサス州とノースカロライナ州で1990年代30人のくる病患者が確認された。全員アフリカ系アメリカ人でビタミンDサプリメントの補給なく育てられていた。母乳には多くの栄養素が含まれているが、ビタミンDは十分ではない。色素の濃い皮膚(黒色人種)は紫外線を95%ブロックするのでビタミンD合成は減少する。大気汚染の広がりも二つの方法で悪影響を及ぼす(つまり、大気汚染による日光の減少とオゾン層破壊によって、人は日光を浴びることを減らしたこと)。そして皮膚ガン予防に皮膚を覆うことも同様に、ビタミンD合成を減少させる。

・肥満
肥満の人には日光からではないビタミンDの補給が必要である、痩せている人に比べ、ビタミンD合成能力が半分以下であるからである。アメリカ人の2/3が肥満であるのでこれは公衆衛生上重要な問題である。日光による皮膚からのビタミンD合成より経口ビタミンDの方がより生物学的に有効であることが研究報告されている。

・多発性硬化症:省略

・心疾患
ビタミンDは心血管系に重要な役割を果たしている。例えば、高血圧を予防するだけでなく、治療にもなる。うっ血性心不全はビタミンD不足で引き起こされる。ビタミンD低値は慢性心不全患者の心機能を低下させる要因である。驚くことはないが、骨塩減少は慢性心不全と相関している。拡張型心筋症はくる病と関係しており両方ともカルシウムとビタミンDの補給が効果がある。

・癌
皮膚ガンは日光を防ぐことで予防できる可能性がある。
クリスピンサリバンは皮膚の細胞を癌化から守るものの一つとしてビタミンDがあると述べている
多くのアメリカ人にとってビタミンDは主に日光からである。(日本人は魚から摂取していた・・・)
ビタミンDを合成するのはUVBだけである。UVBは日焼け止めクリームでブロックされる。日光の浴びすぎでビタミンD過剰による中毒症状は起こさない。継続的に日光を浴びるより経口ビタミンD摂取の方が好ましい。
結腸がん、卵巣癌、多発嚢胞性卵巣は明らかにビタミンD不足と関連している。前立腺癌とビタミンDの関係についてMedlineでは300本以上の論文があり、乳がんに関しては400本以上の論文がある。

・喘息
Dr.ReichはビタミンDとビタミンAとカルシウムとリンを組み合わせた治療により、慢性喘息を治療したと報告している。約5000人がこの研究に参加した。患者のほとんどは標準治療を受けていた人たちである。彼は大人に対しビタミンD3:5000-14000単位/日、ビタミンA:28000-75000単位/日とbone meal tablet(骨由来の錠剤?)を一緒に飲ませた。治療効果が良いため途中から1/2か1/3の量に減量された。彼は90%以上の改善率と報告した。私も彼の患者数人を見たが、その回復した状態に疑いはなかった。他の医師も同様な意見であった。Dr.Reichはこの量での中毒症状は認めなかったと報告した。数人不調を訴えたが、減量により改善した。

・糖尿病
ビタミンD補給を受けた乳児では約80%1型糖尿病が減少した。

・季節性気分障害
冬に気分が落ち込む人にはビタミンDを摂取することを勧める。アメリカ南部の日光がよく当たるところでさえ日光を避けるために多くの人がビタミンD不足になる。冬大気汚染が酷いところではなおさらである

・強皮症・乾癬
強皮症には長期間のビタミンD摂取が有効であり、乾癬にはD3投与で治療が成功したと報告がある

・炎症性腸疾患
ビタミンD欠損は炎症性腸疾患の原因の一つと言われているのでビタミンD摂取は効果的な治療となる

・SLE
50年以上前に、皮膚結核に対しビタミンDを15万単位/日6−8ヶ月投与し治療に成功したと報告がある

・副甲状腺機能亢進症
5−20万単位/日のビタミンD投与で治療成功したと報告がある

<ビタミンD摂取量について>

現在のアメリカDRI(Dietary Reference Intake)での1日摂取推奨量は
乳児:200単位
1−50歳:200単位
51−70歳:400単位
71−:600単位
妊婦:200単位

アメリカ政府の推奨量は約400単位で、臨床現場から言えば少なすぎる。1000-2000単位でさえ少ない。
現在の臨床研究によれば1万−2万単位/日が推奨量である。
安全の範囲は健康維持には1万単位/日で、治療のためであれば5万単位/日、治療抵抗例では30万単位/日が必要である。

<副作用について>

ビタミンDの副作用はほとんどすべてD2によるものである。D2はマルチビタミンサプリメントに含まれる。
D2過剰による症状は動脈硬化、関節炎、末梢血管病、高カルシウム血症、マグネシウム・リン代謝不安定、重金属汚染など。
魚油からのD3にはこれらの症状はほとんど出ない。最近のBritish medical Journalでは60万単位のビタミンDを経口で7−8ヶ月投与し
5年間観察した2000人を対象とした研究が報告され、結果は骨折率が著明に低下したという結論だった。

過剰投与で致命的になることはない
Nutrition desk referenceによると500-600 microgram/kg/dayが中毒量と考えられている。
ラットのLD50(50%が死ぬ致死量)は2−2.4万単位/kg/day,これは成人(70kg)に例えると140ー168万単位/日に相当する量である。

このようにビタミンDは危険性が少ないものであるが以下の場合は注意が必要である
副甲状腺機能亢進症、
リンパ腫、
SLE,
結核、
サルコイドーシス、
腎臓病、
ジギタリス内服中、
カルシウム拮抗薬内服中、
サイアザイド系利尿薬内服中

上記疾患の人は医師のアドバイスを求めたり血液検査でモニターすることを勧める。

<結 論>

ビタミンD3を経口で1−2万単位/日飲みましょう。(治療目的であればその倍量)

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